和結庵の評価体系

和結庵では、武芸 和結道の修行の進捗状況を知る為の手段として、日本の近代武道の段級位制度による評価と、称号制度による評価の二つの評価方法を導入しております。

 

段級位制度については、企業で言えば社員号俸(勤続年数、社員歴に基づく等級)に相当する物だと考えております。つまり、「強い」「弱い」などの一面的な評価では無く、「どれだけ根気強く自身と向き合い、修行に取り組んできたか?」を評価する為の物です。

 

武の修行は決してインスタントな物ではありませんし、ちょっとしたコツを知ったからと言って、直ぐに高い技術水準に到達する事はあり得ないと考えております。達人技と称して宴会芸レベルの事を再現出来たからと言って、その事が人生において益を為す事に繋がるとは私は考えておりません。

 

これは他のジャンル(スポーツ、芸術、その他、例えば料理人の世界でも構いません)の事を考えれば分かる事だと思うのですが、リアリティが求められるはずの武の世界においては、意外にそう言った事に対するリテラシーの欠如を感じる事も事実です。

 

余談ですが、武術を志向される一部の方の中には、格闘技を武術より下に見做す人もいる様ですが、格闘技において求められる鍛錬の厳しさを鑑みれば、とても甘い見識であり、見当違いも甚だしいと考えております。

格闘系アスリートの方々のトレーニングに対する集中力や質及び量、そして合理性などは、旦那芸程度の事が出来る自称武術修行者程度では、到底太刀打ち出来るレベルの物では無い事は、冷静に客観視出来る方であれば自明の理であると思います。

 

その様な事を踏まえて、本来の修業とは簡潔に言えば、悩み、試行錯誤を繰り返しながら検証を繰り返しつつ、客観的な視点より再現性のある技術を習得する過程において、自身の在り様に気付いて我欲や執着を外し、他者への感謝の念を持って共存する事の出来る人間になる事を目指す物であると思います。

またそうでないと意味を為さないとも思います。

勿論それは、過酷な肉体鍛錬に取り組め!と言う事では無く、自身の出来る範囲の中でコツコツと積み上げて行くと言う事であり、息長く取り組み続けて行く事こそが最も大切な事だと私自身は考えております。

 

そう言った意味では、和結庵とはSFアニメの金字塔である『機動戦士ガンダム』の作中に登場する設定であるニュータイプ(他者と共感し、共存出来る人と言う意味において)を育成する為の場所であるとも言えるかも知れません(笑)。

 

話が長くなりましたが、その為に和結庵では、六級六段の十二段階制を制定し、修行期間や受審資格、審査課題などの項目を段階別に細やかに制定し、春季及び秋季と年二回の審査会を実施しております。

審査の結果合格した方には、その段階に応じて認定証もしくは允可状を発行し、当人にお渡しする事としています。

 

また称号制度ですが、一つ一つの段階とその時期を大切に修行に取り組んで頂きたいとの思いから、六級から壱級までと初段から六段までには、独自に制定した称号が付与されております。

基本的には級位者には「習士」、段位者には「修士」と言う称号がベースにあり、更に段階に応じて細かく呼称が級位者の場合には設定されています。

一例としては、、「習士伍級」の様な呼び方をしております。

段位者については、希望する者には、各個人の実力に応じて課題を出し、合格した者には、その段階に応じた称号を新たに付与する事が出来る様にしております。

段位者の称号審査とは、企業で言えば職能給の様な物で、あくまでもその個人のその時点での能力や実力を見定めて、それに応じて称号を付与する仕組みとなっております(故に他者との優劣の比較の為の物ではありません)。

 

称号審査の課題としては、和結道で必要とされる心身の統合された集中力(独自に不動力=ふどうりきと称しております)を、現在独自の視点より9段階に分析及び分類しておりますが、どのレベルに位置しているか?を観る様にしております。

 

この様に和結庵では、二つの評価制度のプラス面を上手く組み合わせつつ、修行に真摯に取り組まれる会員さんのその時点での進捗度を公正中立に評価出来る様に配慮しております。